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Section 2.2 指数と冪乗

Subsection 2.2.1 指数と冪乗

同じ文字や数を何回も掛け合わせる場合には、\(a \times a = a^2\)のように右上に掛け合わせる回数を書き表す。 このとき、右上の数字を\(a^2\)の指数(index)という。 このように\(a^n\)の形で表記される数を、\(a\)の冪乗(べきじょう)もしくは累乗(るいじょう)という。

定義 2.3. 冪乗・累乗.
任意の数\(a\)と自然数\(n\)について、次のように\(a^n\)を定義し、\(a\)の\(n\)乗という。
\begin{gather*} a^n = \underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{n\text{個}} \end{gather*}

冪乗については、次の指数法則が成り立つことが重要である。

Subsection 2.2.2 指数の整数への拡張

指数法則を用いると、冪乗の指数を正の整数以外に拡張することができる。 以下では、指数を0、負の整数、有理数の範囲に拡張していく。 まず、\(a^m = a^{m + 0} = a^m \times a^0\)と考えられるので、\(a^0 = 1\)と定義するのが自然である。

定義 2.5. 指数の0への拡張.
任意の実数\(a\)について、\(a^0 = 1\)と定義する。

次に、指数を負の整数に拡張する。 \(1 = a^0 = a^{n+(-n)} a^n \times a^{-n}\)と考えられるので、\(a^{-n} = \frac{1}{a^n}\)と定義するのが自然である。

定義 2.6. 指数の負の整数への拡張.
任意の実数\(a\)と自然数\(n\)について、\(a^{-n} = \frac{1}{a^n}\)と定義する。

Subsection 2.2.3 指数の有理数への拡張

次に、指数を有理数に拡張する。 \(a = a^1 = a^{\frac{1}{2}+\frac{1}{2}} = a^\frac{1}{2} \times a^\frac{1}{2}\)と考えられるので、2乗して\(a\)になる数を考えればよいことが分かる。 ここで、2乗して\(a\)になる数を\(a\)の平方根(square root)と呼ぶ。また、同様にして\(a\)の冪乗根を定義する。

定義 2.7. 平方根.
任意の0以上の実数\(a\)について、\(b^2 = a\)となる数\(b\)を\(a\)の平方根(square root)と呼ぶ。 特に、\(a\)の平方根のうち正のものを\(\sqrt{a}\)と表す。
定義 2.8. 冪乗根.
任意の0以上の実数\(a\)と自然数\(n\)について、\(b^n = a\)となる数\(b\)を\(a\)のn乗根、または\(a\)の冪乗根と呼ぶ。 特に、\(a\)の\(n\)乗根のうち正のものを\(\sqrt[n]{a}\)と表す。
4の平方根は2と-2なので、\(\sqrt{4} = \sqrt[2]{4} = 2\)となる。 また、27の3乗根は3なので、\(\sqrt[3]{27} = 3\)となる。

冪乗根については、次の計算法則が成り立つ。

冪乗根の考え方を用いると、\(a = a^1 = \underbrace{a^\frac{1}{n} \times a^\frac{1}{n} \times \cdots \times a^\frac{1}{n}}_{n\text{個}}\)と考えられるので、\(a^\frac{1}{n}\)を\(n\)乗根に対応させればよいことが分かる。

定義 2.11. 指数の有理数への拡張.
任意の0以上の実数\(a\)と自然数\(m, n\)について、\(a^\frac{1}{n} = \sqrt[n]{a}\)と定義する。 また、\(a^\frac{m}{n} = (\sqrt[n]{a})^m, a^{-\frac{m}{n}} = \frac{1}{a^\frac{m}{n}}\)と定義する。

先の指数法則は、指数を有理数の範囲にまで拡張しても成り立つ。