Section 5.1 角度
Subsection 5.1.1 度数法
角度を\(x^\circ\)のような形で表す方法を、度数法という。 角度は\(0^\circ\)が最も小さく、\(360^\circ\)になると\(0^\circ\)と同じになる。 こう考えると、例えば\(361^\circ\)は\(1^\circ\)と同じであるとみなせる。 この考え方を一般化したのが、次の一般角である。
定義 5.1. 一般角.
\(\theta \in [0, 360)\)のとき、度数法での一般角を次のように定める。
\begin{gather*}
(\theta + 360n)^\circ = \theta^\circ (n \in \mathbb{Z})
\end{gather*}
例 5.2. 一般角.
Subsection 5.1.2 弧度法
度数法による角度の表示は、そのままでは通常の数と比較することができず、数学で扱うには不便である。 そこで、扇形の弧の「長さ」を用いて、角の大きさを表すことを考える。
半径\(r\)の円の弧の長さは、\(2 \pi r\)と表せる。 円は中心角\(360^\circ\)の扇形とみなすことができるので、\(360^\circ\)と\(2 \pi\)を対応づける、弧度法という角度の表し方を定義する。
定義 5.3. 弧度法.
半径\(r\)の扇形の弧の長さが\(r\)になるとき、ラジアン(radian)という単位を用いて、この扇形の中心角を1 (radian)と定める。 半径\(r\)の円(中心角\(360^\circ\))の円周は\(2\pi r\)で表されるので、\(360^\circ = 2\pi (radian)\)である。 なお、単位radianは省略することが多い。度数法と弧度法は、次の関係式で変換できる。
定理 5.5. 度数法と弧度法の変換.
\(a^\circ = \frac{a}{180}\pi (radian), \theta (radian) = (\frac{180}{\pi} \theta)^\circ\)弧度法によれば、扇形の弧の長さと面積は次の式で表せ、度数法より簡潔に表せる。
定理 5.6. 扇形の弧の長さと面積.
中心角\(\theta (radian)\)、半径\(r\)の扇形の弧の長さを\(l\)とすると、\(l = \theta r\)となる。 また、この扇形の面積は\(\frac{1}{2}\theta r^2 = \frac{1}{2}lr\)となる。 この面積の公式は、三角形の面積の公式(\(\text{面積} = \frac{1}{2} \times (\text{高さ}) \times (\text{底辺})\))と類似している。主要な角について度数法と弧度法の対応関係を表すと、表5.7のようになる。
\(\theta^\circ\) | \(0^\circ\) | \(30^\circ\) | \(45^\circ\) | \(60^\circ\) | \(90^\circ\) | \(120^\circ\) | \(135^\circ\) | \(150^\circ\) | \(180^\circ\) | \(210^\circ\) | \(225^\circ\) | \(240^\circ\) | \(270^\circ\) | \(300^\circ\) | \(315^\circ\) | \(330^\circ\) | \(360^\circ\) |
\(\theta(rad)\) | \(0\) | \(\frac{\pi}{6}\) | \(\frac{\pi}{4}\) | \(\frac{\pi}{3}\) | \(\frac{\pi}{2}\) | \(\frac{2\pi}{3}\) | \(\frac{3\pi}{4}\) | \(\frac{5\pi}{6}\) | \(\pi\) | \(\frac{7\pi}{6}\) | \(\frac{5\pi}{4}\) | \(\frac{4\pi}{3}\) | \(\frac{3\pi}{2}\) | \(\frac{5\pi}{3}\) | \(\frac{7\pi}{4}\) | \(\frac{11\pi}{6}\) | \(2\pi\) |