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Section 4.2 グラフ

Subsection 4.2.1 グラフ

関数のグラフを座標空間に図示すると、関数の値の変化を目で見て分かるように可視化できる。

定義 4.4. グラフ.
関数\(f: \mathbb{R} \to \mathbb{R}\)について、集合\(\{ (x, y) | x \in \mathbb{R}, y = f(x) \}\)を\(f\)のグラフ(graph)という。 また、関数\(f: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}\)について、集合\(\{ (x, y, z) | x, y \in \mathbb{R}, z = f(x, y) \}\)を\(f\)のグラフという。 このとき、\(y = f(x)\)や\(z = f(x, y)\)をそれぞれのグラフの方程式という。

Subsection 4.2.2 移動

関数のグラフを座標空間内で移動させると、グラフに対してさまざまな変形を行うことができる。

定義 4.6. 平行移動.
あるグラフを平面上で一定の距離と方向に動かすことを、そのグラフの平行移動という。 ある方程式のグラフを\(X\)軸方向に\(p\)だけ平行移動したグラフの方程式は、元の方程式の変数\(X\)を\(X - p\)に置き換えたものになる。 たとえば、\(y = f(x)\)を\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動したグラフは\(y - q = f(x - p)\)と表される。
4.7. 平行移動の例

\(xy\)平面上の点\((a, b)\)を\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動すると点\((a + p, b + q)\)となる。 点\((a, b)\)の方程式は\((x, y) = (a, b)\)、つまり「\(x = a\)かつ\(y = b\)」と表せるので、移動後の点の方程式は「\(x = a + p\)かつ\(y = b + q\)」となる。 これを変形すると「\(x - p = a\)かつ\(y - q = b\)となり、元の方程式の\(x\)を\(x - p\)に、\(y\)を\(y - q\)に、それぞれ置き換えたものであることが分かる。 図形のグラフは方程式を満たす点の集合であるので、一般の図形についても、\(x\)を\(x - p\)に、\(y\)を\(y - q\)に、それぞれ置き換えることで、平行移動後のグラフの方程式が求められる。

定義 4.8. 対称移動.
ある点や直線などを決め、グラフをそれに関して対称に移動することを、その点や直線などに関する対称移動という。 ある方程式のグラフを直線\(X = 0\)について対称移動したグラフの方程式は、元の方程式の変数\(X\)を\(-X\)に置き換えたものになる。
  • \(y = f(x)\)を\(x\)軸(\(y = 0\))について対称移動したグラフは\(-y = f(x)\)と表される。

  • \(y = f(x)\)を\(y\)軸(\(x = 0\))について対称移動したグラフは\(y = f(-x)\)と表される。

  • \(y = f(x)\)を原点について対称移動したグラフは\(-y = f(-x)\)と表される。原点についての対称移動は、\(x\)軸についての対称移動と\(y\)軸についての対称移動を合わせたものである。

4.9. 対称移動の例

また、\(x\)や\(y\)を定数で割ることにより、グラフを拡大したり縮小したりすることができる。