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Section 2.3 多項式

定義 2.13. 多項式.
1つ以上の項からなる式多項式(polynomial)という。

例えば式のうち、\(2 + \sqrt{2}\)や\(a + b\)、\(2x + 3y\)などは多項式の例である。 また、左辺と右辺に式がある\(a + b = 3\)などの方程式や、\(2a < 3\)などの不等式もまた、式の例である。

なお、1つしか項がない多項式を単項式と呼ぶことや、多項式の別の呼び方として整式と呼ぶこともある。ただ一般的には、これらすべてをまとめて「多項式」と呼ぶことが多い。

多項式の性質を分析するときには、各項の次数や係数に着目することが多い。

定義 2.14. 係数と次数.
項が\(ax^n\)と表されるとき、\(a\)をこの項の\(x\)についての係数といい、指数\(n\)をこの項の\(x\)についての次数という。 このとき、この項\(ax^n\)は\(x\)について\(n\)次(じ)の項であるという。 数1や\(\pi\)などの定数の次数は0とし、0次の項として扱う。 ただし、数0については次数は定義しない

数や定数については、\(1 = 1 \times a^0\)と解釈できるため、0次の項とする。 また数0については、\(0 \times x\)とも\(0 \times x^2\)とも解釈できてしまうため、次数を定めないことが多い。 なお、項に含まれる文字が1つだけの場合や、どの文字について述べているのか明らかな場合には、「\(x\)についての」という言葉は省略することが多い。

定義 2.15. 多項式の次数.
多項式に含まれる文字\(x\)に着目して各項の次数を調べたとき、最大のものをその多項式の次数という。 また、この多項式は\(x\)について\(n\)次式であるという。

例えば、多項式\(1 + 2x^2 + x\)は\(x\)について2次式であるという。

多項式では、次数の大きい項ほど多項式の値に与える影響が大きくなるので、次数の大きい項から順に並べることが多い。 多項式を次数の高い項から順に並べることを、その多項式を「降冪の順に整理する」という。 逆に、次数の低い項から順に並べることは、「昇冪(しょうべき)の順に整理する」という。 例えば、多項式\(1 + 2x^2 + x\)を降冪の順に整理すると\(2x^2 + x + 1\)になり、昇冪の順に整理すると\(1 + x + 2x^2\)になる。

降冪の順に整理しても式の見た目がよくならない場合などは、降冪の順から逸脱しても見た目の美しさを優先することもある。 例えば、多項式\(x^2 + y^2 + xy + 2x + 2y + 1\)を\(x\)について降冪の順に整理すると\(x^2 + (y + 2)x + y^2 + 2y + 1\)となる。 このように、降冪の順にすることで多項式における\(x\)と\(y\)の対称性が分かりにくくなる場合には、あえて降冪の順に並べないこともある。