Section 4.4 コミュニケーションにおける転送効率
3.5節で述べたように、機械情報はその表現の数によって情報量を定義できる。 そのため、機械情報を送受信するときには、送受信の転送効率(bitrate)を定義できる。
定義 4.7. 転送効率の単位.
情報量\(n \mathrm{bits}\)の機械情報を\(t\)秒で送受信するとき、単位bps(bits per second)を用いて、この通信の転送効率は\(\frac{n}{t} \mathrm{bits/s} = \frac{n}{t} \mathrm{bps}\)であるという。 情報量の場合と同様に、KbpsやMbps、Gbpsなどの単位も定義される。
\begin{equation*}
1 \mathrm{Kbps} = 1,024 \mathrm{bps}, 1 \mathrm{Mbps} = 1,024 \mathrm{Kbps}, 1 \mathrm{Gbps} = 1,024 \mathrm{Mbps}
\end{equation*}
固定電話回線を使用したインターネットでは56Kbps程度の転送効率であったが、光ファイバー回線の転送効率は最大数百Mbps(Mbits/s)から数Gbps(Gbits/s)のものが一般的である。 なお、情報量はByteを基準とする単位で表すことが一般的だが、転送効率はbitを基準とする単位で表すことが多い。
また2.1節で述べたように、社会情報については価値の大きさを客観的に測ることはできない。 そのため速度を厳密に測ることはできないが、Coupéらが言語間の転送効率の差を概算している[45]。 Coupéらによれば、発話が速い言語は各単語の意味が薄くなり、発話が遅い言語は各単語の意味が濃くなる傾向にあるため、言語に依らず転送効率が約\(39 \mathrm{bps}\)になるという。