Section 1.3 本稿の構成
そこで本稿では、情報学における基礎概念を示し、それらの基礎概念を基に展開される理論から得られる知見を示すことを目的とする。
第2章から第5章では、生命や社会の内部における微視的(micro)な現象の理解を目的とする。 ここでは、人間をはじめとする生命の活動を支える情報と、生命からなる社会の活動を支えるコミュニケーション・メディアの関係性を示す。 まず第2章で情報を定義する基礎となる表現と内容を定義し、その対応づけについて述べる。 その上で、第3章で情報、第4章でコミュニケーション、第5章でメディアの概念を定義し、それぞれの性質を述べた上で分類する。
第6章から第9章では、社会における問題解決の基礎となる方針や概念の理解を目的とする。 ここでは、相互に作用しあう集合であるシステムの概念を基に、システム間で生じる創発や介入といった現象を扱う。 まず第6章で問題を定義し、問題解決の方針を示す。 その上で、第7章で還元主義、第8章で構造主義、第9章で創発主義に基づく問題解決を扱う。
第10章から第11章では、社会の変革や発展などの巨視的(macro)な現象の理解を目的とする。 第10章で他のシステムに対して行う介入の概念を示し、第11章では介入に不可欠な論理を述べる。
本稿で述べる各概念の関係を図1.1に示す。