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Section 2.4 アナログとデジタル

量の符号化には、離散的な量に符号化するデジタルな表現と、連続的な量に符号化するアナログな表現がある[22][23][42]

ものの個数や整数は、0の次は1、1の次は2であるというように、ある値の次の値が明確に定まり、その間の値は存在しない。 このように、ある量の値が「飛び飛びに」存在するとき、この量は離散(discrete)的な量だという。 離散的な量の例には、自然数の集合\(\mathbb{N}\)、整数の集合\(\mathbb{Z}\)、有理数の集合\(\mathbb{Q}\)がある。 ある内容を離散的な量に表現したとき、その表現をデジタル(digital)な表現という。

一方、液体の体積や実数は、0と1の間に0.5があり、0と0.5の間には0.25があるというように、2つの値の間にまた別の値が存在するため、ある値の「次」の値が何であるかをはっきり定めることができない。 このように、ある量の値が「切れ目がなく」存在するとき、この量は連続(continuous)的な量だという。 連続的な量の例には、無理数の集合や、実数の集合\(\mathbb{R}\)がある。 ある内容を連続的な量に表現したとき、その表現をアナログ(analog)な表現という。

注釈 2.17. 濃度と連続体仮説.

集合の要素の個数を\(\mathbb{N}\)や\(\mathbb{R}\)のような無限集合に一般化した概念を、集合の濃度(cardinality)という。 有限個の個数しかない集合では、集合の濃度は要素の個数と一致するので、\(\{2, 3, 4\}\)の濃度は3である。

\(\mathbb{Z}\)のように離散的な無限集合は、\(\mathbb{Z}\)の「1番目」の要素は0、「2番目」の要素は1、「3番目」の要素は-1、「4番目」の要素は2、というように、要素を数え上げることが可能である。 このような集合は「要素を数える(count)ことができる」ので、可算(countable)であるといい、可算集合の濃度を\(\aleph_0\)(aleph zero)という記号で表す。

\(\mathbb{R}\)のように連続的な集合は、もはや要素を数え上げることができない。このような連続集合の濃度を\(\aleph\)(aleph)という記号で表す。 当然\(\aleph_0 < \aleph\)が成り立つが、「では、可算集合と連続集合のの濃度をもつ集合は存在するか」という問題が生じる。 「可算集合と連続集合の間の濃度をもつ集合は存在しない」という仮説は連続体仮説(continuum hypothesis)と呼ばれるが、「通常の数学の枠組みでは連続体仮説の真偽を証明できない」ということが証明されている。

アナログな表現をデジタルな表現に変換することをA/D変換(Analog-Digital transform)、デジタルな表現をアナログな表現に変換することをD/A変換(Digital-Analog transform)という。