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Section 2.2 符号化と復号

人間もそれ以外の動植物も含め、生命は常に、見聞きした表現に対して内容を対応づけることで、その生命の外側にある世界の様子を理解している。 また、思い浮かべた内容に対して表現を対応づけることで、その生命の外側で内容を表現している。

ある内容が与えられたとき、その内容に表現を対応づけることを符号化(encode)という。 逆に、ある表現が与えられたとき、その表現に内容を対応づけることを復号(decode)という[34][35]

定義 2.2. 符号化と復号.
生命\(i\)が行う符号化を\(e_i\)、復号を\(d_i\)で表す。
  • \(\alpha = e_i(\beta)\)となるとき、\(i\)は内容\(\beta\)を表現\(\alpha\)に符号化(encode)したという。また、\(\alpha\)を内容\(\beta\)に対応する表現という。

  • \(\beta = d_i(\alpha)\)となるとき、\(i\)は表現\(\alpha\)を内容\(\beta\)に復号(decode)したという。また、\(\beta\)を表現\(\alpha\)に対応する内容という。

\begin{align*} \text{符号化} e_i \amp: \text{内容} \longrightarrow \text{表現}\\ \text{復号} d_i \amp: \text{表現} \longrightarrow \text{内容} \end{align*}
2.3.

「符号化」は符号(code)を作ることから、英語では「code」に「en」がついて「encode」と呼ばれる。 「encode」に対応する単語は英語では「decode」だが、日本語では符号を元の形に復(かえ)す意味で「復号」となるので、「復号化」とは呼ばない。 また、数学で用いる「\(\pm, \mp\)」を複号というが、復号は複号とは別物である。

\(A\)さんが「植物のショウブ(🌱)」を表現しようとして「菖蒲」という漢字を書いたなら、文字「菖蒲」は思い浮かべた「🌱」に対応する表現である(\(e_A(\text{🌱}) = \text{菖蒲}\))。 また、\(A\)さんが「菖蒲」という漢字を見て、「植物のショウブ(🌱)」を思い浮かべたとき、思い浮かべた「🌱」は文字「菖蒲」に対応する内容である(\(d_A(\text{菖蒲}) = \text{🌱}\))。