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Section 9.2 アイデア

個々の要素が相互作用して作られる、創発の結果として生じた新たな情報アイデア(idea)または発想という。

Youngはアイデアを、既存の要素の新たな組み合わせだと述べている[81][82]。 あらゆる発想は全く何もないところから湧き出すのではなく、意識的であれ無意識的であれ、既知のものを組み合わせて生まれる。

Schumpeter(シュンペーター)は、このように新たな組み合わせを生じさせることをイノベーション(innovation)と呼び、社会発展の源泉だとした[83]

定義 9.1. アイデア.
時刻\(t = T\)においてシステム\(S\)にオートポイエーシスが生じたとき、システムの定義により、\(e \in E(T)\)かつ\(e \notin E(T-1)\)となる\(e\)が存在する。 この\(e\)を、システム\(S\)に時刻\(T\)で生じたアイデア(idea)という。
注釈 9.2. 新たな学術分野の発生過程.
Vincenotは、複雑系と環境学という異なる学問分野で発生した手法が融合し、1つの学問分野に統合される過程を可視化して示した[84][85]。 この研究では、学術論文が他の論文を引用するという引用関係に着目し、引用関係をグラフに可視化した。 更に、論文の発表時期とグラフ上の時間軸を対応させて動画の形で可視化することにより、2つの分野が徐々に1つに統合されていく過程を明らかにした。