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Section 3.6 通信における符号

コンピュータなどの機械で通信する際に行う符号の例を、次に挙げる。

  • データ圧縮(data compression)(情報源符号化)は、データを通信で送受信する際に、通信時間や記憶容量を節約するために行う、データのサイズを小さくする方法である。 データ圧縮における符号化を圧縮(compress)、データ圧縮における復号を展開(decompress, expand)という。 データ圧縮には、圧縮したファイルを圧縮前のファイルと同じファイルに戻すことができる可逆圧縮と、圧縮前のファイルに戻すことができない非可逆圧縮の2種類がある。 文書やソフトウェアを圧縮する場合には、圧縮後に元のファイルを復元できないと困るので、可逆圧縮が使われる。 一方、写真や音楽、動画などは可逆圧縮では小さくなりにくいため、元の品質を犠牲にして情報量を小さくする非可逆圧縮が使われることが多い。 データ圧縮により情報から冗長性を除くと、情報量が減り、より高速に情報を伝えることができる。

  • 誤り検出・訂正(error detection/correction)(通信路符号化)は、データを通信で送受信する際に、データを破損させずに送受信するために行う、データの一部を重複させる方法である。 受信したデータの破損を検出することを誤り検出、検出した破損を修正して元のデータを復元することを誤り訂正という。 誤り検出・訂正により情報に冗長性を加えると、情報量が増える一方、より確実に情報を伝えることができる。

  • 暗号(cipher)は、パスワードなどの(key)をもつ相手だけに元のメッセージ(平文(ひらぶん))を読めるようにし、それ以外の第三者には内容が分からない形に変換する方法である。 暗号における符号化は、社会情報を強制的に機械情報にする変換であり、これを暗号化(encrypt)という。暗号化してできた機械情報を暗号(cipher)または暗号文という。 また、暗号文を平文に戻す変換復号(decrypt)という。 暗号化や復号の際は、変換に使うパスワードなどの(key)が必要であり、暗号化と復号で同じ鍵を使う暗号を共通鍵暗号異なる鍵を使う暗号を公開鍵暗号という。 共通鍵暗号と公開鍵暗号の仕組みを図3.14と図3.15に示す。
    3.14. 共通鍵暗号の仕組み
    3.15. 公開鍵暗号の仕組み