Section 2.1 表現と内容
表現(expression)とは、日本語の漢字や仮名、英語のアルファベットなどの文字、手話の身振り、点字、絵文字、顔文字、人間以外の生物が使う鳴き声、マーキングなどの、生命の外側にあるものをいう。 また、内容(content)とは、印象、感情、認識、概念、イメージなどの、生命の内側にあるものをいう[9]。
例えば、日本語の漢字である「菖蒲」は表現の例、頭の中に思い浮かべた「植物のショウブ(🌱)」は内容の例である。
ここで、ある生命にとっての内容の「大きさ」を、その生命にとっての価値という。 内容は思考の過程で思い浮かべるものであるため、内容の「大きさ」、つまり価値は、客観的に測ることができない。 一方で、文字による表現が1文字、2文字と数えることができるように、表現の「大きさ」は、客観的に測ることができる。
注釈 2.1. 記号学.
本節の用語は、言語学者Hjelmslev(イェルムスレウ)によるものであるが、これはSaussure(ソシュール)の理論を発展させたものである。 Saussureは、本稿の「表現」にあたるものをシニフィアン(signifiant)、本稿の「内容」にあたるものをシニフィエ(signifié)と呼んだ[18][19][20][21]。 SaussureやHjelmslevの理論を基礎とする言語学の流派を記号学(semiology)といい、情報学と強く関係している。